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【感想】平成最後の犯罪小説『Blue/葉真中顕』

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kobunsha.comから


葉真中顕さんの小説『Blue』を読んだ。

 

 

平成という時代が始まった日に生まれ、終わった日に死んだ男・ブルー。

平成が続いた期間、ブルーが生きた期間は30年と4か月である。

時代としてはこれが長いのか短いのかわからないが、人の生としては明らかに短い。

ブルーがどのような死を迎えていても、人はきっと彼を不幸だと思うにちがいない。

 

では、彼が殺人鬼だったら。

殺人鬼として警察に追われ、その末に交通事故に遭って死んだとしたら。

 

それでもぼくはブルーが不幸だと思った。ここで死んでほしくないと思った。

 

そう思ったのはぼくだけじゃない。

 

ブルーを追っていた刑事の綾乃は、車にひかれたブルーに「死ぬな」と叫ぶ。

捜査の過程でブルーの生い立ちを知った綾乃は、そう叫ばずにはいられなかったのである。

 

 

ブルーがどのような少年時代を送ったのか、ぼくには想像もつかない。

でも、ブルーのような子供が世の中にいることを、ぼくはニュースで知っている。

 

児童虐待

 

少年時代、ブルーは親から虐待を受けていたのである。

虐待によってブルーの人生は狂った。

虐待を受けて育ったブルーは、人を殺すほどの怒りをその身に宿してしまった。

ブルーを殺人鬼にしてしまったのは彼の親である。

 

……しかし、ブルーの親もまた不幸な人だったのではないかとも思う。

 

作中、児童相談所の職員が言う。

 

誰もが無条件でいい親になれるわけではありません。どうしても子供を上手く愛せない人というのは、一定数いるんです。

 

どうしても子供を愛せない人。

もしブルーの親がそうであったなら、親もまた不幸な人だったのではないか。

 

 

『Blue』を読みながら、ぼくは誰がいちばんの悪者かを考えていた。

しかし、考えてもその答えにはたどり着かなかった。

悪を悪と言い切れない、平成はそういう時代なのだと思った。

 

『Blue』が出版されたのは平成31年4月30日、平成最後の日。

平成を締めくくるように出版された『Blue』は、平成最後の犯罪小説である。