読書のあいま

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【感想】ネズミ親子の冒険小説『川の光/松浦寿輝』

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www.chuko.co.jpから

 

川の光』は、ぼくたち人間の足元で繰り広げられる大冒険を描いた小説です。

突然始まった工事によって川辺の住処を失った三匹のネズミ親子が、新天地を求めて冒険をするという物語。

 

アニメーション映画化もしています。

 

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nhk-ep.comから

 

 

この親子は、東京の街中でたまに見かけるドブネズミではなく、もっと小さなクマネズミ。

お父さんネズミは子供たちにこう言い聞かせます。

 

「ぼくらは川に生きるネズミなんだ」

 

ドブネズミたちのように街で人間に怯えながら暮らすのではなく、川辺の草むらを自由に駆け回るネズミなのだと。

お父さんネズミと二匹の兄弟タータとチッチは、自分たちが川のネズミであることを誇りに思い、命がけの大冒険に挑むのです。

 

天敵のイタチに追いかけられたり、下水管の中を流れたり、「帝国」とよばれるほどの広大な縄張りをもつドブネズミたちと戦ったり……。

ハラハラドキドキの物語です。

ぼくたち人間にとっては自転車で10分そこらの距離でも、ネズミたちにとっては命がけの大冒険なのです。

 

 

小さい体ながら自分の生き方を貫き通す姿に、生きる強さを感じました。

彼らにとって川のせせらぎは、川の光は、生きる力を与えてくれるもの。

 

同じく住処を追われ、図書館で暮らすクマネズミのグレンが、兄弟たちにある言葉を教えます。

 

川の光を求めて」

 

この言葉は彼らの生き方そのものです。

 

長い児童小説を読んでいるみたいでした。

可愛らしい挿絵もあって、挿絵見たさにページをめくる手が早くなる。

 

 

三匹のネズミが死にかけている。

銀河系の辺境の、とある恒星の回りを公転する、地球というちっぽけな惑星のうえでの出来事だ。

 

彼らの冒険の行く末を見届けてください。